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3.11以降の世界と聖書──言葉の回復をめぐって

編著者 福嶋裕子、大宮謙、左近豊、スコット・ヘイフマン(共同執筆者)
刊行年月日 2016年3月25日
出版社 日本キリスト教団出版局
価 格 1,700円
プロジェクト名 3.11以降の世界と聖書──言葉の回復をめぐって
所属研究部 キリスト教文化研究部
目 次
まえがき
第1章
記憶と証言
第2章
創造から新しい創造へ──イエス、審判、そして津波・福島災害
第3章
混沌の記憶と言葉の回復──危機を生き抜く信仰者と教会
第4章
嘆きの記憶と言葉の回復──哀歌におけるimprecationについて
第5章
絶望の記憶と言葉の回復──イエスの湖での奇跡をめぐって
第6章
苦難の記憶と言葉の回復──パウロの使途としての苦難とⅡコリント2:14-16aの重要性
第7章
死者の記憶と共同体の回復──ヨハネ黙示録の修辞的・歴史的分析
第8章
技術から見る人間の回復──プロメテウスの火と技術をめぐる聖書解釈への展望
初出一覧
あとがき
紹介文  本書の特徴は、東日本大震災を経験した方々の証言と聖書解釈を一緒に掲載したことである。プロジェクトが始まったときから、このことは計画していた。聖書自体が「神を信じた人々の証言の書」だと言われることもある。
 しかしそれら「証言」とは何であろうか。
 証言者は、自分の身に起きたことをできるだけ正確に相手に伝えようとする。だが伝わらないことがある。特に極限状況を生き延びた場合、伝えることができないもどかしさが出てくる。
 聖書に『哀歌』という書がある。これは紀元前六世紀のエルサレム崩壊を体験した人々が、その苦難のなかから発した言葉を集めたものと考えられる。過酷な体験を言葉にすること、その言葉を書き留めること、それらの言葉を読むこと。そのひとつひとつの行為をとおして記憶に刻みつけられ、希望へと変えられるように願う。